廃プリント基板の場合、低品位物で前処理無しでそのまんま鉱山へ納品ですと、逆有償になるパターンもあるんです。
この前処理の成否によって結果が左右されるわけですから、これが一番の「基板リサイクル」におけるノウハウというべきものでしょう。
その驚愕のノウハウとは?
マザーボード系の「高品位の基板」がメイン!という方には、この先を読む必要はありません。
なぜなら、「高品位基板」はそのままでも有価だからです。
特別な前処理を施さなくても、有価物としてすでに流通しています。
ただ、前処理をやったほうが良いのは良いんですが。
ここで解説していきたいのは「そのままでは逆有償」になってしまう低品位モノ
に的を絞っていきます。
こんな基板です。
■コンセプト
鉱山では買鉱条件というものがあり、その条件に照らし合わせて原料を買い取ります。
金・銀・プラチナ・パラジウム・銅 の5元素が主な買取品目です。
現在、都市鉱山とも言われ、皆さんも関心が高いのではないでしょうか?
前処理を行う上で一番気をつけなければいけないのが、この条件をいかに有利にもっていくか?というところです。
評価方法は、銅以外は1トン中に何g入っているか?で決まります。
銅は含有率(%)で決まります。
この評価では、最低○○ないと買い取れません!という基準があります。
この基準は、鉱山会社によって多少の違いがあります。
まずはこの基準を満たす前処理をしなくてはなりませんね。
■鉱山の受け入れ基準
鉱山の受け入れ基準で、まず第一段階にくるのが大きさです。
炭化(炭にしてしまう)した基板はこれにあてはまりません。
炭化した基板は、そのままの大きさでもOKです、
が、
さらに粉砕したほうがベストなのは確か。
でも炭化は装置も高いしね〜。
では炭化以外の方法とは?というと「粉砕」しかありません。
鉱山の原料受け入れ基準としては、通常25mmアンダー(25mm以下)としていますが、これではまだ若干大きすぎるようです。
10-15mmまで細かくすると良いですね。
細かければ細かいほどいいんですが、あまり細かくするにもコストが掛かってしまい本末転倒になりますので、ほどほどにしておきましょう。
では、細かくするのはいいけれど、どうやってあんなゴテゴテの基板をそこまで細かくやるの?をご説明します。
■まずは手作業
あまりに余分なものが多い基板は、手作業で異物を取り除く作業が必要です。
特にプラスチックは取ったほうが良いですね。
この作業のあるなしで、実際の結果はかなり変わります。
取ったプラスチックも、もちろん再生原料としてリサイクルされます。
どこまでやるか?が重要ですが。
手作業でプラスチックなどを除去した基板は、一度バラ置場に移されます。
解体の必要の無い基板も当然多くありまして、この場合は直接バラ置場に空けちゃいます。
このバラ置場で、色んな基板をミックスして、破砕機に投入するためのコンベアへGO!
このコンベアに乗って、破砕機へと送り込まれます。
■希望粒度を得るために
ここでは電源系のゴテゴテ基板を、よりコストを掛けずに細かくする方法について述べます。
これにはプラントが必要です。
月間100〜200トン程度処理できるプラントで、3000〜3500万位。
さらに300〜500トンクラスになると、1億円位です。
怖い投資ですね・・・。
まず、一次破砕です。
この破砕機ですが、竪型のハンマークラッシャーです。
横型はあまり良くないですね。
横型はスクリーンメッシュを使用していますので、そのメッシュの穴より大きなもの(金属のカタマリなど)はなかなか出てきません。
出てこないと、しまいにはかなりの熱を帯びて、焦げ臭いニオイが充満してきます。
竪型は、目開きを調整するだけでこの問題をクリヤしています。
金属は塊状になりそのまま排出され、基板片もここである程度細かくなります。
処理量を稼ぐことが出来るという点でも優れています。
モーターは150トン/月くらいなら37〜55kw、
300〜500トンやりたいなら110kw以上必要です。
いずれも220〜440ボルトなんで、キュービクル(変電施設)も必要になります。
次に
破砕機から排出された基板片はコンベアを通ります。
この時の基板片は、金属の塊と粉状の基板など、大小様々な形が混在しています。
この1次破砕出口のコンベアは「スクリューコンベア」が良いようです。
コンベアをこのような構造にすることによって得られるメリットは、
「粉塵が出ない」
「蛇行がない」
「壊れない」
の3点です。
この手の一次破砕機は、高速回転ですので扇風機みたいなもんです。
出口からその風と共に破砕片の細かいのがブワ〜っと舞うんです。
すごい粉塵です。
この粉塵には基板特有の「ハンダ鉛」が入っていますから、すごい有毒ですよね。
ならばこの粉塵を抑えなきゃヤバイです。
普通なら通常のゴムコンベアで集塵機を使うのですが、普通のコンベアでは集塵機を使っても粉塵を吸いきれないんです。
そこで効果を発揮するのがスクリュー式コンベアです。
基板の破砕っていうのは、誰でも簡単にできそうでできないのは、この粉塵処理がかなりネックとなっているからです。
ただでさえ埃まみれでやりにくい作業なのに、その中に鉛が入ってるんですから。
粉塵に関しては、鎮塵ミストも併用すると尚グー!ですよ。
鎮塵ミストというのは、水を霧状にして「粉塵」を抑えるシステムです。
基板投入時にも粉塵は出るため、主に投入口付近に設置しています。
ただの「水」ですが、凄い効果です!
さて、スクリューコンベアを通った原料は、次に磁選機を通ります。
磁選機とは、磁石を利用して鉄を取り除く機械のことです。
マグネットロール式や吊り下げ式がありますが、どうも吊り下げ式の方が良さげです。
写真はマグネットロール式です。
ここで大きな原料の磁選を行います。
余分な鉄をこの段階で取り除きます。
この段階では、鉄に銅線なんかがまとわり付いているので、このままの状態で置いておき、後日この鉄だけをもう1回破砕に掛け、さらに鉄と銅を分離します。
磁選を通過し、鉄が取り除かれた基板片は、次の工程「アルミ選別機」を通過します。
アルミ選別機というのは、ドラムの中に配置された磁石を回転されることにより、渦電流を発生させ、その電気の反発力を利用してアルミを「飛ばす」機械です。
通電性のある金属は基本的に飛びますので、銅や真鍮なども飛びます。
これは後に手選別をします。
基本的に電源基板ゴテゴテ系は、前回の記事でも書いたように、アルミのヒートシンクが多いのが特長です。
鉱山の嫌がるアルミをここで除去したわけですね。
当然、このアルミは「良いアルミ」ですので、高値で売れます。
鉄も当然売れますね。
こんな感じの鉄が取れます。
手選別後の銅・真鍮も高いですね!
拾ってます!
さて
鉄とアルミをさらに除去した残りの基板片ですが、これをさらに細かく粉砕します。
細かくするといっても、通常の廃プラを破砕するような機械では、刃はすぐイカれてしまいます。
なんてったって、アルミ選別機では「ステンレス」は除去できないんです。
そのステンレスや、飛びきらないアルミが混入してたら、ソク刃が欠けてしまいます。
そんな心配が無い機械は無いもんかね〜。
次ページでは
その心配無い機械と、配合・調質編をお送りします。




